メシル酸イマチニブが著効した小腸gastrointestinal stromal tumor腹膜播種の1例

鈴木　聡, 三科　武, 二瓶　幸栄, 平野　謙一郎, 渡邊　真実, 渡邊　マヤ, 松原　要一

鶴岡市立荘内病院外科

　巨大小腸gastrointestinal stromal tumor（以下，GIST）の切除2年後に腹膜播種で再発し，2回の開腹手術や免疫・化学療法，腹腔内温熱療法などの集学的治療は無効で，imatinib（グリベック）が著効を示した1例を経験した．症例は現在55歳の男性で，平成10年に長径13 cmの回腸腫瘍に対し腫瘍切除術を施行し，組織学的にはc-kit陽性のGIST，悪性腫瘍の診断であった．2年後に腹膜播種が判明し，2度の開腹による播種性腫瘤切除術や腹腔内温熱療法，DoxorubicinやDacarbazineを用いた化学療法（ADIC）やクレスチンを中心とした免疫療法を施行した．しかし，一時的に症状の緩和がはかられたものの治療効果はPDであった．平成14年2月，グリベック400 mg/日の投与を開始すると，1か月後には腹膜播種性腫瘤は消失し，投与開始2年6か月経過した現在無再発生存中である．有害事象はGrade 1の顔面浮腫と食欲不振のみであった．グリベックは悪性GISTの再発に対し，有効でかつ安全な治療薬と考えられた．

索引用語
imatinib mesylate, gastrointestinal stromal tumor, peritoneal dissemination

別刷請求先
鈴木　聡　〒997-8515　鶴岡市泉町4-20　鶴岡市立荘内病院外科

受理年月日
2005年2月23日

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