症例報告
Linear stapler断端を先進部とした術後腸重積の1例
榎本 剛史, 丸山 常彦*, 堀内 栄*, 大河内 信弘**
筑波大学人間総合科学研究科先端応用医学, 総合守谷第一病院外科*, 筑波大学人間総合科学研究科臨床医学系消化器外科**
盲腸部分切除術に使用したlinear stapler断端が先進部となった術後腸重積を経験したので報告する.症例は56歳の男性で,S状結腸癌による腸閉塞で入院した.チューブ盲腸瘻を造設した後に,2期的にS状結腸切除術および盲腸瘻閉鎖術を行った.盲腸瘻はlinear staplerを使用し盲腸部分切除術を行って閉鎖した.術後4日目から間欠的な腹痛が出現し,右上腹部に手拳大の腫瘤を触知した.画像から,linear stapler断端を先進部とした腸重積を発症していたと診断し,緊急手術を行った.整復すると,先進部はlinear staplerを中心に瘢痕化した断端が7 cm大の腫瘤を形成していた.再発の可能性があると考え,断端を含む回盲部切除術を施行した.腸閉塞による回盲部の口径差の拡大,埋没した切除断端の過大な内反,盲腸瘻閉鎖術の剥離操作により盲腸に可動性が生じたことが腸重積の原因と考えられた.
索引用語
postoperative intussusception, linear stapler, postoperative complication
日消外会誌 38: 1374-1378, 2005
別刷請求先
榎本 剛史 〒305-8575 つくば市天王台1-1-1 筑波大学人間総合科学研究科先端応用医学
受理年月日
2005年2月23日
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