症例報告
ガストログラフィンによる胃切除後胃石の1例
清水 謙司, 中西 章人, 林 隆志, 佐藤 文平, 辻 雅衛
康生会武田病院外科
ガストログラフィンによる胃透視を契機に発症した幽門側胃切除後の薬剤性胃石の1例を経験した.症例は70歳の男性で,胃癌・直腸癌に対して幽門側胃切除術(Billroth I法再建)および直腸低位前方切除術を施行した.術後7日目にガストログラフィンによる胃透視を施行した.胃透視施行後4週間目の腹部X線写真および腹部CT所見にて胃内に高吸収X線像を認めたため胃内異物の診断にて上部消化管内視鏡検査を施行した.胃内に30×20 mm大の卵形の黒緑色の胃石を認め,内視鏡による破砕・摘出術を施行した.結石内に白色の結晶様物質が認められ結石分析においてガストログラフィンの有効成分であるアミドトリゾ酸の存在が約70%認められた.ガストログラフィンが関与したと考えられる胃石形成の報告は見られず,はじめての報告と思われる.
索引用語
bezoar, gatrografin, gastrectomy
日消外会誌 38: 1420-1423, 2005
別刷請求先
清水 謙司 〒551-0032 大阪市大正区北村3-4-5 大阪府済生会泉尾病院外科
受理年月日
2005年3月30日
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