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第38巻 第9号 2005年9月 [目次] [全文 ( PDF 501KB)]
症例報告

十二指腸平滑筋腫局所切除後に空腸漿膜パッチ術を施行した1例

松原 健太郎, 江川 智久, 長島 敦, 北野 光秀, 土居 正和, 林 忍, 木口 英子, 吉井 宏

済生会神奈川県病院外科, 同 病理部

 症例は30歳の男性で,下血を主訴に当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に粘膜下腫瘍と同部からの出血を認めた.循環動態が不安定となったため,緊急手術を施行した.ファーター乳頭部の対側に粘膜下腫瘍を認め,十分な切除縁を確保し局所切除を行った.十二指腸の欠損は半周以上に及んだため空腸漿膜パッチ術を施行した.摘出標本の免疫組織化学的検索で平滑筋腫と診断した.術後経過は良好であった.術後の低緊張性十二指腸造影検査で変形・狭窄は認められなかった.また,術後の上部消化管内視鏡検査では,術後1年で完全に粘膜再生が生じていた.十二指腸平滑筋腫に対して局所切除を行い欠損部が半周以上となった場合,空腸漿膜パッチ術は変形や狭窄を来さず,パッチ部に粘膜の再生も起こり奨励できる術式と考えられた.

索引用語
jejunal serosal patch, duodenal leiomyoma

日消外会誌 38: 1424-1428, 2005

別刷請求先
松原健太郎 〒160-8582 新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科

受理年月日
2005年3月30日

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