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第38巻 第9号 2005年9月 [目次] [全文 ( PDF 562KB)]
症例報告

両側副腎,肺への異時性転移に対し外科治療により長期生存中の肝細胞癌の1例

皆川 のぞみ, 中川 隆公, 神山 俊哉, 中西 一彰, 蒲池 浩文, 植村 一仁, 松下 通明, 伊藤 智雄, 藤堂 省

北海道大学病院第1外科, 同 病理部

 肝細胞癌治療後の両側副腎,肺への異時性転移に対し外科治療を行い,初回手術より6年間の長期生存を得られた症例を報告する.症例は68歳の男性で,近医で外傷の際に肝S6/7に腫瘤を指摘され1998年2月肝細胞癌の診断で肝右葉切除術を施行した.病理は中分化型肝細胞癌T3N0M0 stage IIIであった.2000年12月左肺S9に約2 cmの再発を認め,胸腔鏡補助下左肺下葉部分切除術施行した.2001年7月右副腎再発に対し右副腎腫瘍切除術を施行した.2002年4月肝S4に22 mmの腫瘤を認め,RFAを施行した.2004年3月左副腎腫瘤を認め,左副腎摘出術を施行した.初回手術より6年の長期生存が得られ,現在再発病巣なく健存中である.肝細胞癌は転移再発を起こしやすい疾患であるが,肝内病変,肝外病変ともおのおのが治癒切除可能であれば,積極的な手術療法により予後の改善が期待できると考えられた.

索引用語
hepatocellular carcinoma, adrenal metastasis, surgery

日消外会誌 38: 1445-1450, 2005

別刷請求先
皆川のぞみ 〒060-8648 札幌市北区北14条西5丁目 北海道大学病院第1外科

受理年月日
2005年3月30日

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