症例報告
手術後8年目に多発転移を来し切除可能であった後腹膜paragangliomaの1例
帖地 憲太郎, 初瀬 一夫, 辻本 広紀, 菅澤 英一, 小俣 二郎, 末山 貴浩, 相田 真介*, 望月 英隆
防衛医科大学校外科学第1, 同 病院検査部病理*
症例は68歳の女性で,1996年7月,膵背側の後腹膜腫瘍の診断で腫瘍摘出術を施行.病理学的にparagangliomaと診断され,悪性所見は認めなかった.2002年12月,超音波検査で肝S8に高エコーを呈する病変が描出されたが,肝血管腫を疑い,経過観察となった.2004年4月に画像上,増大傾向および131I-MIBGシンチにて肝臓,左上腹部,下腹部正中に集積像を認めたため,paragangliomaの肝臓,左側腹部および骨盤底への多発転移と診断.2004年10月,拡大肝右葉切除術,左傍結腸溝腫瘍,傍直腸腫瘍摘出術を施行した.組織学的に初回手術時の腫瘍と同様の像を呈していたため,paragangliomaの多発転移と診断された.Paragangliomaは核分裂像などの悪性所見を認めなくても再発・転移を来す症例も存在することから,長期にわたる経過観察が必要と思われた.
索引用語
retroperitoneal tumor, paraganglioma, multiple metastases
日消外会誌 38: 1469-1474, 2005
別刷請求先
帖地憲太郎 〒359-8513 所沢市並木3-2 防衛医科大学校外科学第1
受理年月日
2005年3月30日
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