症例報告
直腸肛門周囲瘻孔を形成した潰瘍性大腸炎の外科治療例
羽根田 祥, 舟山 裕士, 福島 浩平, 柴田 近, 高橋 賢一, 橋本 明彦, 長尾 宗紀, 渡辺 和宏, 工藤 克昌, 佐々木 巌
東北大学大学院生体調節外科学分野
潰瘍性大腸炎では種々の合併症が報告されているが,同じ炎症性腸疾患であるCrohn病と異なり瘻孔を形成することはまれであり,Crohn病との鑑別診断や,治療上の問題となる.今回,我々は直腸肛門周囲に瘻孔を形成し,外科治療を要した症例を3例経験したので報告する.3症例はいずれも30~40歳代の女性で,病悩期間はそれぞれ約25年,9年,12年であった.病型は症例1,2が全大腸炎,再燃緩解型,症例3は左側大腸炎,再燃緩解型であり,重症例はなかった.手術は症例1は全結腸直腸切除・回腸ストーマ造設術,症例2は3期分割大腸全摘・回腸肛門吻合術,症例3では直腸膣瘻修復・一時的回腸瘻造設術を行った.3症例とも手術後1~3年経過しているが瘻孔の再発は認めず,有効な術式であったと思われた.
索引用語
ulcerative colitis, anorectal fistula, rectovaginal fistula
日消外会誌 38: 1490-1494, 2005
別刷請求先
羽根田 祥 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学大学院生体調節外科学分野
受理年月日
2005年3月30日
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