原著
Crohn病の難治性直腸肛門部病変に対する人工肛門造設術の効果と問題点
小金井 一隆, 木村 英明, 荒井 勝彦, 杉田 昭, 福島 恒男
横浜市立市民病院外科
はじめに:Crohn病の高度な直腸肛門部病変を改善する目的で造設した人工肛門の効果と問題点を検討した.対象と方法:Crohn病の難治性直腸肛門部病変に対して人工肛門造設術を施行した42例で,術後の自覚症状,病変の改善,人工肛門閉鎖の有無をみた.結果:人工肛門造設後74%の症例の自覚症状が改善し,病態別では痔瘻(72%),直腸から骨盤内に伸展した瘻孔,骨盤内膿瘍,直腸会陰瘻,直腸尿道瘻では改善率が高かったが,直腸肛門狭窄,直腸(肛門)膣瘻は改善率が低かった.直腸肛門部病変が改善したため人工肛門を閉鎖した16例では閉鎖後に15例で病変が悪化し,最終的に人工肛門が閉鎖できたのは4例のみで,10例に直腸切断術を施行した.考察:難治性の直腸肛門部病変に対する人工肛門造設術は症状の改善に有効であるが,病変自体の治癒はなく,原則として人工肛門は閉鎖しないことがquality of lifeの維持に必要と考えられた.
索引用語
Crohn's disease, anorectal complications, fecal diversion
日消外会誌 38: 1543-1548, 2005
別刷請求先
小金井一隆 〒232-0024 横浜市南区浦舟町4-57 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター難病医療センター
受理年月日
2005年3月30日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|