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第38巻 第10号 2005年10月 [目次] [全文 ( PDF 693KB)]
症例報告

転移巣が扁平上皮癌であった胃低分化型腺癌の1切除例

吉村 文博, 辻 義明, 原 靖, 牛島 正貴, 森本 光昭, 田口 順

甘木朝倉医師会立朝倉病院外科, 同 病理

 原発巣は低分化型線癌であったにもかかわらず,転移巣はすべて角化した扁平上皮癌であった極めてまれな胃癌の1切除例を経験した.症例は59歳の男性で,腹痛,腹部膨満感にて当院受診.上腹部に腫瘤触知し,精査目的で入院となった.胃内視鏡検査で胃体部から前庭部にかけて壁伸展不良を認め,生検で低分化型腺癌の診断を得た.腹部CT上,腹部腫瘤は直径約4 cm大に腫大したNo4dリンパ節を疑った.手術は胃全摘再建術,および横行結腸部分切除術,胆嚢摘出術を行った.胃癌は組織学的にすべて低分化型腺癌であったのに対し,転移リンパ節,また後に出現した転移巣の組織像はすべて角化型扁平上皮癌であった.死後病理解剖が施行され食道,肺,精巣他に原発巣としての扁平上皮癌成分は認めなかった.本症例は非常にまれであると同時に,胃低分化型腺癌が転移巣あるいは転移過程において角化型扁平上皮癌に形質転換した可能性が強く示唆された.

索引用語
gastric cancer, squamous cell carcinoma in metastatic lymph nodes, adenocarcinoma transformed into squamous cell carcinoma

日消外会誌 38: 1549-1554, 2005

別刷請求先
吉村 文博 〒838-0069 甘木市来春422 甘木朝倉医師会立朝倉病院外科

受理年月日
2005年3月30日

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