症例報告
孤立性肝結核腫の1例
森村 玲, 松村 篤, 石井 博道, 海老原 良昌, 鶴田 宏史, 増山 守, 渡辺 信介, 谷口 弘毅*
済生会滋賀県病院外科, 京都府立与謝の海病院外科*
孤立性肝結核腫はまれな疾患である.今回,我々は外科的切除後に孤立性肝結核腫と診断された症例を経験したので報告する.症例は60歳の男性で,高血圧にて近医通院中,血液検査で肝機能障害を指摘され腹部超音波検査を受けたところ,肝S7に腫瘤が認められたため精査加療目的に当院に紹介された.腹部CT,腹部MRI,腹部血管造影検査を施行し,胆管細胞癌の疑いにて肝切除術を施行した.切除標本の組織学的検査で乾酪性壊死を伴う肉芽腫を認めたため,孤立性肝結核腫と診断した.術後18か月経つ現在も外来にて経過観察中であるが再燃の徴候を認めていない.画像診断の進歩に伴い詳細かつ的確な診断が要求される現在では,孤立性肝結核腫は肝臓の腫瘍性病変に対処する際,留意すべき疾患と考えられた.
索引用語
solitary tuberculoma of the liver, tuberculosis of the liver, liver tumor
日消外会誌 38: 1567-1571, 2005
別刷請求先
森村 玲 〒520-3046 栗東市大橋2-4-1 済生会滋賀県病院外科
受理年月日
2005年3月30日
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