症例報告
de novo非浸潤性膵癌およびIPMNを伴った下部胆管癌の1手術例
川手 進, 大和田 進, 浜田 邦弘, 吉田 崇, 柏原 賢治*, 森下 靖雄
群馬大学大学院臓器病態外科学, 群馬大学医学部附属病院病理部*
de novo非浸潤性膵癌およびintraductal papillary mucinous neoplasm(以下,IPMNと略記)を伴った下部胆管癌の1手術例を経験した.患者は75歳の男性で,平成15年9月,発熱のため近医を受診し,血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認めた.ERCPで下部胆管に壁不整を伴った全周性の狭窄像があり,胆汁細胞診はClass IVであった.膵管にはごく軽度の不整像を認めた.以上より,下部胆管癌の診断で,今永法再建による膵頭十二指腸切除術(以下,PDと略記)を施行した.病理組織学的には胆管病変は乳頭腺癌で,主膵管および分枝膵管にはIPMNが存在し,主膵管には非浸潤性の乳頭腺癌が認められた.下部胆管癌に対して施行したPDに際し,偶然に膵癌発生の初期像をとらえた.膵臓の微細な変化に十分注意をはらうことで,膵癌の早期発見が可能になる.
索引用語
double cancer, non-invasive pancreatic cancer, intraductal papillary mucinous neoplasm
日消外会誌 38: 1572-1577, 2005
別刷請求先
大和田 進 〒371-8511 前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院臓器病態外科学
受理年月日
2005年3月30日
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