症例報告
2期的手術にて救命しえた上腸間膜静脈血栓症の1例
新田 英利, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 鈴木 正臣, 尾上 重巳, 長澤 圭一, 吉原 基, 渡辺 健次, 田口 泰郎, 伊藤 貴明
豊橋市民病院外科
急性腹症を示すまれな疾患である上腸間膜静脈血栓症の1例を報告する.症例は22歳の男性で,上腹部痛にて来院し,CT,血管造影検査にて上腸間膜静脈血栓症と診断された.入院後,すぐに抗凝固療法を開始するも次第に症状は増悪し,3日目に上腸間膜静脈血栓症による腸管壊死を疑い,緊急手術を施行した.約180 cmにわたり壊死小腸を切除した.術中,辺縁静脈に血栓の残存を認めたため再発,縫合不全を危ぐし両側腸管を盲端のまま閉腹し,2期的手術を予定し終了した.2日後,再開腹し腸管壊死の徴候はなく盲端を吻合した.術後経過は良好で術後22日目に退院した.
索引用語
superior mesenteric venous thrombosis, two-stage operation, anticoagulant therapy
日消外会誌 38: 1602-1606, 2005
別刷請求先
新田 英利 〒441-8570 豊橋市青竹町八間西50 豊橋市民病院医局
受理年月日
2005年3月30日
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