症例報告
イレウス症状で見つかった食道扁平上皮癌の小腸転移の1例
赤木 純児, 高井 英二, 岩永 知大, 光野 利英, 蔵野 良一*
国立病院機構熊本南病院外科, 熊本市医師会検査センター病理部*
食道癌の小腸転移を経験したので報告する.症例は66歳の女性で,2003年9月に胸部食道癌にて,食道切除および胃管再建術を受けている(moderately differentiated squamous cell carcinoma,pAd n2 M0 stage III).2004年7月下旬より,嘔気・嘔吐が出現するようになり,8月の腹部単純X線写真でニボーを認めたため,イレウスの診断で入院となった.入院後の諸検査(小腸造影X線検査,腹部造影CT)にて,回腸に狭窄部が存在すると考えられたため,2004年9月イレウス解除術を施行した.回腸末端部より約70 cm口側に漿膜浸潤を示す腫瘍性病変を認め,病理検索の結果食道癌の小腸転移と診断した.なお,前胸部にも皮下に腫瘤を認め同時に切除し,これも食道癌の転移と判明した.食道癌の小腸転移は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
intestinal metastasis, esophageal carcinoma, ileus
日消外会誌 38: 1697-1702, 2005
別刷請求先
赤木 純児 〒869-0593 宇城市松橋町豊福2338 独立行政法人国立病院機構熊本南病院
受理年月日
2005年5月25日
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