症例報告
HCG産生胃癌の1例
長田 博光, 横尾 直樹, 北角 泰人, 梁 純明, 吉田 隆浩, 北村 好史, 塩田 哲也, 岡本 清尚*
高山赤十字病院外科, 同 病理*
症例は65歳の女性で,左頸部腫瘤を主訴に近医より紹介受診した.局所麻酔下左頸部リンパ節生検にて,抗human chorionic gonadotropin(以下,HCG)抗体染色陽性を示す腺癌細胞が証明された.原発病巣の検索を行ったところ,上部消化管内視鏡検査や腹部CTなどにより,頸部・腹部大動脈周囲リンパ節転移を伴った噴門直下のHCG産生胃癌と診断した.tegafur・gimeracil・oteracil potassium配合カプセル剤(以下,TS-1)を用いた化学療法を2コース施行した.その結果,腫瘍マーカーの正常化と,画像上リンパ節腫脹消失を認めたため,根治を目的に胃全摘術,脾臓摘出術,D2郭清を施行した.その病理組織検査からもHCG産生胃癌と診断されたが,大動脈周囲リンパ節など多数のリンパ節には転移の残存を認めた.術後19日目より左頸部リンパ節再腫脹を含めた遠隔転移の急速増悪を認め,TS-1再投与するも効果が認められず,術後102日目に永眠された.
索引用語
gastric cancer, human chorionic gonadotropin, TS-1
日消外会誌 38: 1716-1721, 2005
別刷請求先
長田 博光 〒506-8550 高山市天満町3-11 高山赤十字病院外科
受理年月日
2005年4月27日
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