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第38巻 第11号 2005年11月 [目次] [全文 ( PDF 533KB)]
症例報告

十二指腸潰瘍穿孔を契機に発症した甲状腺クリーゼの1例

伊勢 憲人, 白山 公幸

藤原記念病院外科

 症例は53歳の女性で,突然の腹痛にて夜間救急外来を受診した.既往歴は特記事項なし.十二指腸潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎と診断され緊急開腹し,大網充填,腹腔内洗浄ドレナージ術を施行した.術前から高血圧,洞性頻脈が認められた.術後甲状腺腫大を認め甲状腺クリーゼを疑い,甲状腺機能の精査を行った.結果判明前に,術後14時間後よりチアマゾール90 mg/day,イオパミドール1 ml/dayで開始し,塩酸ジルチアゼムの持続静注を行った.その後,採血結果から甲状腺機能亢進症と診断された.術後経過は概ね順調で中枢神経症状,心不全徴候を呈することなく,術後5日目より経口摂取開始し,それに伴いチアマゾール,プロプラノロールの内服を開始した.甲状腺機能も正常化したため術後15日目に退院した.甲状腺クリーゼはまれであるが,手術が誘因となりえ,発症すると致死率が高いため,常に念頭におく必要がある.

索引用語
thyroid crisis, perforated duodenal ulcer

日消外会誌 38: 1722-1725, 2005

別刷請求先
伊勢 憲人 〒010-0201 潟上市天王字上江川47 藤原記念病院外科

受理年月日
2005年4月27日

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