症例報告
リンパ節転移を認めたにもかかわらず長期生存が得られた巨大fibrolamellar hepatocellular carcinomaの1症例
太枝 良夫, 磯野 敏夫, 吉岡 茂, 若月 一雄, 貫井 裕次, 高橋 均, 鍋嶋 誠也, 西野 武夫*, 高橋 年美*, 宮崎 勝**
千葉市立海浜病院外科, 同 病理*, 千葉大学医学研究院臓器制御外科学**
23歳の日本人男性に発症したリンパ節転移を認めた巨大fibrolamellar hepatocellular carcinoma(以下,FLCと略記)を切除し,術後14年の無再発症例を経験したので報告する.本疾患は特異な病理所見を有する肝細胞癌の特殊型で,本邦では極めてまれとされている.本症例は若年で,HBs抗原,HCV抗体がともに陰性,非硬変肝からの発生であった.腹部超音波およびCTにて肝右葉に直径16 cm大の腫瘍が認められた.造影CTおよび血管造影では腫瘍濃染像を呈し,中心部は造影されず中心性瘢痕を思わせた.テクネシウムシンチグラムにて腫瘍部が欠損像を呈した.以上より,FLCの診断にて肝右葉切除術,肝門部リンパ節郭清術,肝動脈カニュレーションを施行した.下肝動脈リンパ節に転移を認めた.病理組織学的には豊富な好酸性胞体を有する多形性の腫瘍細胞と層状の膠原線維束が認められ典型的なFLCと診断された.
索引用語
fibrolamellar hepatocellular carcinoma, lymphnode metastasis, focal nodular hyperplasia
日消外会誌 38: 1732-1737, 2005
別刷請求先
太枝 良夫 〒261-0012 千葉市美浜区磯辺3-31-1 千葉市立海浜病院外科
受理年月日
2005年4月27日
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