症例報告
C型肝硬変に発生した胆管内発育型肝内胆管癌の1例
金本 秀行, 前田 敦行, 上坂 克彦, 松永 和哉, 伊在井 淳子, 古川 敬芳*
静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科, 同 画像診断科*
症例は腹痛を主訴とする62歳の男性で,2003年7月に左肝内胆管拡張と胆管内腫瘤の精査のため当院を初診した.腹部CTにて左葉肝内胆管枝は著明に拡張し,内部に腫瘍の充満を認めた.直接胆道造影所見では,腫瘤の下端は左右肝管合流部に及んでいた.胆管内発育型の肝内胆管癌と診断し,根治手術として肝左葉切除は必須と考えた.患者はC型肝硬変であり,indocyanine greenテストは停滞率15分値37%,消失率0.089と不良であったが,CT volumetryで喪失する正常肝実質が少量であったことから耐術可能と診断した.2003年8月肝左葉・尾状葉全切除,肝外胆管切除再建術を施行した.患者は合併症なく,術後23病日に軽快退院した.近年,慢性ウイルス性肝疾患における肝内胆管癌の発生が注目されているが,多くは腫瘤形成型の報告である.C型肝硬変に純粋な胆管内発育型肝内胆管癌が発生したとする報告はこれまでにない.
索引用語
cholangiocarcinoma, intraductal growth, liver cirrhosis type C
日消外会誌 38: 1738-1743, 2005
別刷請求先
金本 秀行 〒411-8777 駿東郡長泉町下長窪1007 静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
受理年月日
2005年4月27日
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