臨床経験
噴門側胃切除術後における残胃の癌の特徴と経過観察に関する検討
永岡 栄, 板東 隆文, 磯山 徹, 遠藤 健, 酒井 敬介, 丸山 嘉一, 野地 満, 高山 尚久, 豊島 明
日本赤十字社医療センター消化器外科
当センターで胃癌に対して胃切除術を施行し,follow up中に残胃の癌が発見され切除を施行した症例は15例であった.このうち噴門側胃切除術後の残胃の癌切除症例4例を詳細に分析した.これらは同時期に施行した噴門側胃切除術症例の2.8%であった.発見までの介在期間は11か月から4年2か月,平均2.9年であった.発生部位は全例非断端部であった.全例早期癌であったが4例中3例は未分化型のSM浸潤癌であった.1例にリンパ節転移を認めたが観察期間4~125か月で全例無再発生存,予後良好であった.初回術式は全例,食道胃吻合術がなされており残胃の内視鏡での観察が容易であった.本邦における自験例を除く噴門側胃切除術後の残胃の癌24例の集計では,介在期間の平均は7.0年,組織型は分化型が多く,残胃進行癌が多かった.以上の特徴を念頭におき,計画的な経過観察により早期発見・治療に努めることが重要であると考えた.
索引用語
carcinoma of residual stomach, carcinoma after proximal gastrectomy, multiple gastric cancer
日消外会誌 38: 1773-1777, 2005
別刷請求先
永岡 栄 〒150-8935 渋谷区広尾4-1-22 日本赤十字社医療センター消化器外科
受理年月日
2005年4月27日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|