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第38巻 第12号 2005年12月 [目次] [全文 ( PDF 950KB)]
症例報告

膵併存癌(duct-acinar cell carcinoma)の1切除例

阪井 満, 竹田 伸, 石川 忠雄, 金住 直人, 井上 総一郎, 金子 哲也, 中尾 昭公, 長坂 徹郎

名古屋大学医学部大学院医学系研究科病態制御外科学, 同 病理

 膵管癌,腺房細胞癌あるいは島細胞癌が混在する膵併存癌はまれであり,その報告は極めて少ない.今回,我々は膵管癌と腺房細胞癌の混在するmixed duct-acinar cell carcinomaの1切除例を経験したので報告する.症例は63歳の男性で,糖尿病のため近医通院中,血糖コントロールの悪化があり,精査にて膵頭部癌と診断され当科紹介となった.腹部CTでは膵頭部に3.5 cm大の境界不明瞭かつhypovascularな腫瘍を認めた.腹部血管撮影では門脈へ直接合流する回結腸静脈にencasementが認められた.ERCPでは膵頭部領域における主膵管の途絶が認められた.CEAは軽度上昇,CA19-9は正常であった.以上より,膵頭部癌の診断の下,回結腸静脈合併膵頭十二指腸切除術および術中照射を施行した.摘出標本では,膵頭部に浸潤傾向の強い充実性腫瘍を認めた.病理組織および免疫組織学的検討により,中分化型管状腺癌と腺房細胞癌の併存癌と診断された.

索引用語
duct-acinar cell carcinoma, pancreatic cancer

日消外会誌 38: 1821-1827, 2005

別刷請求先
阪井 満 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部大学院病態制御外科学

受理年月日
2005年5月25日

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