症例報告
術前に診断しえた虫垂原発MALTリンパ腫の1例
田中 千恵, 野崎 英樹, 小林 裕幸, 清水 稔, 佐々 実穂
名鉄病院外科
症例は74歳の女性で,平成13年11月検診で便潜血陽性を指摘された.前医で下部消化管内視鏡検査を行い,回盲部に粘膜下腫瘍を認めたが,生検で悪性像を認めなかったため経過観察とされた.平成14年5月下部内視鏡検査の生検でmucosa-associated lymphoid tissue(以下,MALTと略記)リンパ腫と診断され,治療目的に当院紹介された.採血上Hb 9.5 g/dlと軽度低下を認めた.CT上回盲部に壁肥厚を認めた.骨髄穿刺では異常を認めなかった.以上より,回盲部に限局するMALTリンパ腫の診断で平成14年7月回盲部切除術を施行した.術後病理組織診断は虫垂原発のMALTリンパ腫であった.腫瘍は漿膜面に露出していたが,リンパ節に転移は認めなかった.術後経過観察しているが再発の徴候を認めない.まれな虫垂原発MALTリンパ腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
索引用語
primary mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of the appendix
日消外会誌 38: 1835-1838, 2005
別刷請求先
田中 千恵 〒451-8511 名古屋市西区栄生2-26-11 名鉄病院外科
受理年月日
2005年5月25日
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