胃および小腸gastrointestinal stromal tumor53例の臨床病理学的検討

藤田　淳也, 塚原　康生, 菅　和臣, 秦　信輔, 北田　昌之, 島野　高志, 佐久間　貴彦^＊, 花田　正人^＊, 高見　元敞^＊＊

市立豊中病院外科, 同　病理^＊, 市立柏原病院^＊＊

　はじめに：1980年以後当院にて外科的切除を行った上部消化管に発生したGIST 53例を対象として臨床病理学的検討を行った．方法：免疫染色にてKITあるいはCD34陽性であった消化管原発間葉系腫瘍をGISTと診断した．発生の分布は胃33例，十二指腸5例，空腸11例，回腸4例であった．結果：腫瘍径の平均は7.8 cmで，M.I.（mitotic index/50 HPF）別では5/50 HPF未満は41例，5/50 HPF以上は12例であった．腫瘍径とMIを組み合わせて判定するリスク分類別ではlow risk 9例，intermediate risk 26例，high risk 18例となった．全体の術後5年生存率は77.1％，10年生存率は70.7％で53例中12例に再発が認められた．無再発生存率の比較ではlow risk群，intermediate risk群に比べてhigh risk群は有意に不良であった．また，小腸GISTは胃GISTに比べて有意に予後不良であった．Cox比例ハザードモデルでの多変量解析ではM.I.が独立した予後因子と判定された．考察：GISTは腫瘍径とM.I.から判定したリスク分類あるいは原発臓器で予後の推定が可能であり，その悪性度に応じた治療と経過観察が必要であると考えられた．

索引用語
gastrointestinal stromal tumor (GIST), KIT, GIST of stomach, GIST of small intestine, mitotic index

別刷請求先
藤田　淳也　〒560-8565　豊中市柴原町4-14-1　市立豊中病院外科

受理年月日
2005年6月22日

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