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第39巻 第1号 2006年1月 [目次] [全文 ( PDF 1003KB)]
症例報告

イレウス管による十二指腸水平脚憩室穿孔の1例

道免 寛充, 松本 譲, 児嶋 哲文, 平口 悦郎, 小西 和哉, 村上 貴久, 平野 聡, 近藤 哲

函館中央病院外科, 北海道大学腫瘍外科

 3回の開腹歴がある79歳の女性が,イレウスの診断で当院内科に入院となった.同日イレウス管の挿入が行われたが,十二指腸水平脚近位にとどまり,より遠位に進めることが困難であった.翌々日,症状の改善なく,イレウス管造影検査で腸管外への造影剤の漏出と,腹部CTで十二指腸周囲のfree airを認めたため,イレウス管による十二指腸穿孔の診断で緊急開腹術を施行した.手術所見では十二指腸水平脚に憩室が存在し,同部よりイレウス管の脱出を認めた.憩室切除,ドレナージ術,結腸右半切除術を施行した.十二指腸憩室が穿孔を来すことはまれであり,穿孔例の多くは下行脚の憩室である.医原性穿孔は3例のみ報告されているが,イレウス管による穿孔例は,本邦では他に報告は見当たらない.イレウス管挿入時に十二指腸にて先進しない場合は,憩室の存在も念頭におき,慎重な操作を心がける必要があると考えられた.

索引用語
duodenal diverticulum, duodenal perforation, ileus tube

日消外会誌 39: 55-59, 2006

別刷請求先
道免 寛充 〒060-8636 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部腫瘍外科

受理年月日
2005年6月22日

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