大腸亜全摘によりseptic shockより離脱しえたものの救命不可能であった偽膜性大腸炎の1例

菅澤　英一, 辻本　広紀, 間嶋　崇, 帖地　憲太郎, 小野　聡, 市倉　隆, 相田　真介^＊, 望月　英隆

防衛医科大学校外科学第1, 防衛医科大学校病院検査部^＊

　症例は75歳の女性で，近医整形外科手術翌日より腹痛・下痢出現．腹部症状の増悪と意識障害が出現したため，当科に転院となった．腹部CTでは腸間膜・後腹膜の肥厚，および腹水を認めた．大腸内視鏡検査で黄白色の偽膜の形成を認め，偽膜よりClostridium difficile毒素Aが検出された．直ちに集中治療およびvancomycin（VCM）やmetronidazoleによる治療を開始したが，septic shockに陥ったため大腸亜全摘術を施行．術後，血圧の上昇および意識障害の改善が見られたものの，多臓器不全が進行し，大腸亜全摘術より第49病日に永眠された．抗生剤投与後に下痢や腹痛などの消化器症状を呈した場合には本症を念頭においた診断・治療が重要であり，さらにsepsisや臓器障害が進行する症例では早期から積極的な外科治療を考慮すべきであると考えられた．

索引用語
pseudomembranous colitis, septic shock, surgical intervention

別刷請求先
菅澤　英一　〒359-8513　所沢市並木3-2　防衛医科大学校第1外科

受理年月日
2005年6月22日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です