鼠径部転移リンパ節で扁平上皮癌への分化を呈した肛門管原発未分化癌の1例

稲垣　光裕, 山崎　弘貴, 斉藤　琢巳, 千里　直之, 海老沢　良昭, 小原　充裕, 河野　透, 徳差　良彦^＊, 三代川　斉之^＊, 葛西　眞一

旭川医科大学第2外科, 同　病院病理部^＊

　症例は78歳の男性で，肛門出血および肛門痛を主訴に当科受診．肛門3時および7時方向の内外痔核の診断にて内服・坐薬を使用し経過観察した．その後，肛門痛が持続するようになり，肛門6時方向の硬結および急速に増大する左鼠径部リンパ節を触知したため腰椎麻酔下に肛門管上皮と鼠径リンパ節の生検を施行，病理組織検査結果から肛門管未分化癌の鼠径部リンパ節転移と診断した．腹会陰式直腸切断術後に塩酸イリノテカン，ロイコボリン，フルオロウラシル，ドキシフルリジンの4剤併用全身化学療法を4クール継続したが，術後6か月目に癌死した．本症例は鼠径部転移リンパ節で扁平上皮癌への分化を呈した肛門管原発未分化癌で腫瘍切除後の予後は不良であった．

索引用語
carcinoma of the anal canal, undifferentiated carcinoma, abdominoperineal rectal excision

別刷請求先
稲垣　光裕　〒078-8510　旭川市緑が丘東2条1丁目1-1　旭川医科大学第2外科

受理年月日
2005年6月22日

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