症例報告
微小血管吻合を付加した門脈圧亢進症合併食道癌手術の経験
菊地 健司, 奥芝 俊一1), 北城 秀司1), 川原田 陽1), 七戸 俊明, 山本 有平2), 小松 嘉人3), 森川 利昭, 加藤 紘之1), 近藤 哲
北海道大学医学部腫瘍外科, 斗南病院1), 北海道大学医学部形成外科2), 同 腫瘍内科3)
食道癌患者のうち約4~6%に肝硬変の合併が認められるが,それらの患者における術後合併症の発生率は高く,手術成績が不良であることが知られている.今回,我々は門脈圧亢進症合併食道癌症例に対し,胃管のうっ血を改善するために微小血管吻合を付加し,縫合不全なく,経過良好であった症例を経験したので報告する.症例1は肝硬変による門脈圧亢進症を合併した3型食道癌であり,食道亜全摘後に左胃静脈と前頸静脈の吻合を付加した.症例2は肝炎により門脈圧亢進症を合併した2型食道癌であり,左胃静脈と内胸静脈の吻合を付加した.両症例とも血管吻合後,肉眼的に胃管のうっ血が解消され,術後,縫合不全,出血などの合併症を認めなかった.
索引用語
venous shunt, esophageal cancer, portal hypertension
別刷請求先
菊地 健司 〒060-8648 札幌市北区北14条西5 北海道大学医学部腫瘍外科
受理年月日
2005年7月27日
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