症例報告
右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス手術後の胃癌に対し胃切除術を施行した3例
鹿野 敏雄, 越川 克己, 澤崎 優1), 桐山 幸三, 和田 応樹2), 谷口 健次, 末永 裕之
小牧市民病院外科, 同 心臓血管外科1), 同 内分泌外科2)
右胃大網動脈(right gastroepiploic artery;以下,RGEA)を使用した冠状動脈バイパス手術(coronary artery bypass graft;以下,CABG)後の胃癌に対し胃切除術を施行した症例を3例経験した.症例1は75歳の男性で,平成9年2月,RGEAなどをグラフトに用いCABG 2枝を施行した.21か月後,胃前庭部に2型病変を指摘され,経皮経管的冠状動脈形成術を施行後,幽門側胃切除D2郭清を行った.症例2は70歳の男性で,平成15年4月,RGEAなどを用いたCABG2枝を施行した.13か月後,胃角部にIIc病変を指摘され,再CABG施行後幽門側胃切除D2郭清を行った.症例3は59歳の男性で,平成11年1月,RGEAなどを用いたCABG3枝を施行した.5年4か月後,胃前庭部に2型の病変を指摘され,再CABG施行後幽門側胃切除D2郭清を行った.RGEAを使用したCABG後の胃癌手術では,RGEAによらない右冠動脈領域への血行再建を先行させ,2期的に胃癌手術を行う方法が安全確実であると考える.
索引用語
right gastroepiploic artery, coronary artery bypass graft, gastric cancer
別刷請求先
鹿野 敏雄 〒485-8520 小牧市常普請1-20 小牧市民病院外科
受理年月日
2005年7月27日
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