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第39巻 第2号 2006年2月 [目次] [全文 ( PDF 490KB)]
症例報告

CDDP腹腔内投与+TS-1併用療法により癌性腹水が消失した進行性胃癌の1例

藤井 雅和, 沖野 基規, 藤岡 顕太郎, 山下 勝之, 濱野 公一

小野田市立病院外科, 山口大学第1外科

 症例は66歳の男性で,約10 kgの体重減少,腹痛で当院を受診した.腹部CTで腹水貯留と腹部大動脈周囲リンパ節の腫脹を認め,直腸診でダグラス窩に腫瘤を認めた.胃内視鏡検査では,丈の低い隆起性病変を認め,病理組織ではGroup Vであった.癌性腹膜炎を伴う進行性胃癌と診断され,腹水コントロールを目的として,腹腔内リザーバー留置術が施行された.術後,CDDP 100 mgが週1回,計3回腹腔内投与された.TS-1(120 mg/day)の投与法は,2週間内服,1週間休薬を1クールとした.投与開始後,最高3,316 ng/mlあったCEAの値はすみやかに下降し,腹水も消失した.直腸診でのSchnitzler転移は陰性化し,腹部CT上の腹部大動脈周囲リンパ節転移も消失した.胃内視鏡検査でも癌病変の著しい縮小を認めた.治療開始1年10か月後の現在でも,CRは継続しており,患者は外来化学療法で良好なQOLを保っている.

索引用語
intraperitoneal administration, carcinomatous ascites, cisplatin

日消外会誌 39: 189-195, 2006

別刷請求先
藤井 雅和 〒756-0094 小野田市東高泊1863-1 小野田市立病院外科

受理年月日
2005年7月27日

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