症例報告
十二指腸乳頭部早期癌に対する膵温存十二指腸下行脚分節切除術2例の経験
石井 正紀, 今泉 俊秀, 柏木 宏之, 堂脇 昌一, 杉尾 芳紀, 飛田 浩輔, 大谷 泰雄, 生越 喬二, 幕内 博康, 町村 貴郎*
東海大学消化器外科, 池上総合病院外科*
近年,十二指腸乳頭部早期癌や良性疾患に対して,根治的かつ縮小手術として,膵温存の十二指腸下行脚分節切除,部分切除の報告が散見される.紹介した本術式は膵温存が可能で膵管,胆管共通管を十二指腸壁外,膵外で切離して十二指腸乳頭部を完全摘出でき,十二指腸腔内の水平方向へ進展した腫瘍に対応できる.今回,我々は十二指腸乳頭部早期癌の2症例に膵温存十二指腸下行脚分節切除を行ったので文献的考察を含め報告する.症例1は61歳の女性で,非露出腫瘤型の早期癌の診断で上記手術を行い,H0,P0,M(-),pN0,pEM0,m,stage Iであった.症例2は77歳の女性で,露出腫瘤型の乳頭部早期癌の診断で手術を行い,病理診断はH0,P0,M(-),pN0,pEM0,od,stage1であった.2症例ともに術後若干の胃排泄遅延を認めたが,その後の食事摂取は良好であった.本症例は今後,長期の経過観察を要するが,十二指腸乳頭部早期癌に対する根治術式として有用であると考えた.
索引用語
segmental resection of the duodenum, adenocarcimoma of papilla of Vater, pancreas-sparing
別刷請求先
石井 正紀 〒259-1193 伊勢原市望星台 東海大学医学部消化器外科学
受理年月日
2005年7月27日
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