症例報告
膵癌切除8年後に骨格筋転移にて再発した1例
久保 尚士, 山田 靖哉, 西原 承浩, 仲田 文造, 澤田 鉄二, 大平 雅一, 西野 裕二, 平川 弘聖
大阪市立大学大学院医学研究科腫瘍外科
膵癌の骨格筋転移は非常にまれで過去に本邦で3例の報告がみられるのみである.今回,我々は膵癌治癒切除後8年目に大腿四頭筋に転移再発した非常にまれな症例を経験したので報告する.患者は66歳の男性で,膵頭部癌の診断で,平成5年12月,門脈切除を伴う膵頭十二指腸切除術を施行した.平成14年5月右大腿部に疼痛を伴う鶏卵大の腫瘤に気付いた.CA19-9,Span1などの腫瘍マーカーも増加していたことから,膵癌の筋肉内転移と診断し,腫瘤切除を行った.腫瘍は線維性結合組織内に不規則な腺管を形成する高分化型管状腺癌であった.術後6か月後には肺転移も認め,平成16年2月に死亡した.原発巣切除後11年2か月経過していた.癌の既往のある患者に骨格筋腫瘍がみられた場合は,転移性腫瘍も念頭におく必要があると思われた.
索引用語
pancreatic cancer, skeletal muscle metastasis
別刷請求先
久保 尚士 〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3 大阪市立大学医学部腫瘍外科
受理年月日
2005年9月28日
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