症例報告
虚血性回腸炎の腸壁内Clostridium perfringens感染による門脈ガス血症の1例
麓 祥一1)2), 野口 剛2), 明石 雄一2), 菊池 隆一2), 川原 克信2), 内田 雄三1)
新別府病院外科1), 大分大学医学部第2外科2)
症例は70歳の男性で,主訴は腹痛,嘔吐であった.平成12年6月,突然気分不良,嘔気嘔吐が出現し,当院に緊急搬送された.来院時,意識レベルはやや傾眠傾向,血圧68/38 mmHg,脈拍60回/分.腹部に圧痛,筋性防御は認めなかった.腹部CTにて肝内門脈ガス像と小腸壁の肥厚を認め,腸管壊死に伴う門脈ガス血症の診断にて緊急手術を行った.術中所見はバウヒン弁より15 cm口側より75 cmにわたり回腸に黒色の色調変化が認められ同部を切除吻合した.摘出標本において回腸粘膜が黒色に変化する虚血性変化を認め,さらにその粘膜下に気泡が散在性に存在した.病理所見では粘膜から粘膜下層にかけて壊死に陥っており,その壊死した粘膜内にガス産生菌であるClostridium perfringensを多数認めた.術直後,翌日に高圧酸素療法を施行し,術後17病日で軽快退院した.
索引用語
Clostridium perfringens infection, hepatic portal venous gas, ischemic ileitis
別刷請求先
麓 祥一 〒879-5593 大分郡狭間町医大ヶ丘1-1 大分大学医学部腫瘍病態制御講座
受理年月日
2005年7月27日
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