症例報告
播種性骨髄癌症により術後急激な経過をたどった上行結腸低分化腺癌の1例
田島 隆行, 向井 正哉, 檜 友也, 大谷 泰雄, 佐藤 慎吉*, 中崎 久雄, 幕内 博康**
東海大学大磯病院外科, 同 病理診断科*, 東海大学医学部付属病院外科**
大腸低分化腺癌はまれな疾患であり,臨床病理学的な特徴は不明な点が多い.我々は原発巣切除後に急速な経過をたどり死亡した,播種性骨髄癌症を強く疑われた上行結腸低分化腺癌の1例を経験した.症例は48歳の男性で,右側腹部痛の症状を呈し上行結腸癌と診断され,当院に入院となった.術前検査にて上行結腸の印環細胞癌と診断され,結腸右半切除術を施行した.腫瘍は肉眼的に4型を呈し,腹水細胞診はclass V,4群リンパ節転移が認められた.病理学的診断は上行結腸の低分化腺癌であった.術後8日目より強い腰痛が出現し血小板減少が進行したため骨シンチ検査を行ったところ,全身の骨に異常集積像が認められた.急速に播種性血管内凝固症候群に陥り,術後約2か月で死亡し大腸癌骨髄癌症と考えられた症例を経験したので文献的考察と反省を加えて報告する.
索引用語
disseminated carcinomatosis of the bone marrow, poorly differentiated carcinoma of the large bowel, DIC
別刷請求先
田島 隆行 〒259-0198 中郡大磯町月京21-1 東海大学医学部附属大磯病院外科
受理年月日
2005年9月28日
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