症例報告
転移リンパ節で非小細胞型未分化癌への脱分化を認めた食道高分化型扁平上皮癌
早田 啓治, 岩橋 誠, 中村 公紀, 中森 幹人, 中谷 佳弘, 石田 興一郎, 中 禎二, 飯田 武, 森 一郎*, 山上 裕機
和歌山県立医科大学第2外科, 同 臨床検査医学*
症例は64歳の男性で,嚥下困難を主訴に当科を受診した.術前診断は胸部下部食道癌で生検ではkeratin pearl形成を伴う扁平上皮癌と診断された.右開胸開腹食道亜全摘,3領域リンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査では原発巣は高分化型扁平上皮癌であり,リンパ節は#3,#7,#106recR,L,#101R,L,#104R,Lで転移陽性であった.胸腹部転移リンパ節は中分化型扁平上皮癌であり,頸部転移リンパ節は低分化型扁平上皮癌と非小細胞型未分化癌が混在していた.また,頸部転移リンパ節の免疫組織学的検査ではAE1/3,EMAは陽性,chromogranin A,synaptophysin,NSE,vimentinはいずれも陰性であることから上皮細胞由来と考えられた.食道非小細胞型未分化癌は非常にまれであり,本例はその発生において扁平上皮癌の脱分化が関与することを示唆する極めて興味深い症例である.
索引用語
esophageal cancer, non-small-cell type, undifferentiated carcinoma
別刷請求先
岩橋 誠 〒641-8510 和歌山市紀三井寺811-1 和歌山県立医科大学第2外科
受理年月日
2005年10月19日
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