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第39巻 第3号 2006年3月 [目次] [全文 ( PDF 467KB)]
症例報告

右心房に腫瘍栓が達した肝細胞癌に対する肝切除術の1例

谷 安弘, 中川 隆公, 神山 俊哉, 中西 一彰, 福森 大介, 蒲池 浩文, 植村 一仁, 松下 通明, 椎谷 紀彦, 藤堂 省

北海道大学大学院医学研究科消化器外科・一般外科, 同 循環器外科

 右心房に腫瘍栓が達している肝細胞癌に対する手術適応は限られていたが,手術手技の向上により,長期予後を期待するほか,腫瘍栓による肺梗塞や心不全による突然死を回避する目的で手術が行われている.今回,右心房に腫瘍栓が達した右肺全摘後の症例に対し人工心肺を併用することにより安定した血行動態の下,腫瘍を切除しえた症例を経験した.症例は68歳の男性で,腫瘍は肝右葉全体を占め,腫瘍栓が右肝静脈より右心房に達していた.手術は肝門部処理後anterior approachで肝実質を切離し,右肝静脈を処理すれば肝右葉を摘出できる状態にした後,人工心肺を稼動させた.右肝静脈を切開し腫瘍塞栓とともに切除肝を摘出した.右心房に腫瘍栓が達しても人工心肺併用により安全に切除することができると考えられる.

索引用語
hepatocellular carcinoma, intra-atrial tumor thrombus, cardiopulmonary bypass

日消外会誌 39: 306-311, 2006

別刷請求先
谷 安弘 〒060-8638 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学大学院医学研究科消化器外科・一般外科

受理年月日
2005年9月28日

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