症例報告
肝細胞癌術後大動脈周囲リンパ節転移巣を切除した1例
赤本 伸太郎, 出石 邦彦, 谷内田 真一, 岡野 圭一, 合田 文則, 若林 久男, 臼杵 尚志, 前田 肇
香川大学医学部第1外科
我々は肝細胞癌術後の大動脈孤立性リンパ節再発に対し,切除を行い比較的良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は77歳の女性で,平成13年に肝細胞癌にてS8部分切除術とリンパ節郭清(No. 12,13)を施行し,No. 12に転移リンパ節を指摘されていた.外来経過観察中に,平成15年4月のCTで大動脈周囲リンパ節腫大を指摘され,転移を疑われた.他臓器に転移再発を認めず,平成15年5月リンパ節摘出術を施行した.病理では低分化型肝細胞癌の所見であった.術後1年10か月のCTで多発肝転移を指摘されたが,術後2年の現在生存中である.肝細胞癌のリンパ節転移は剖検例で30%前後と決してまれではないが,肝切除症例では1.6%と少ない.さらに,孤立性リンパ節再発の報告は肝十二指腸間膜,膵頭後部リンパ節再発では散見されるが,大動脈周囲リンパ節再発の報告は非常にまれである.
索引用語
hepatocellular carcinoma, paraaortic lymph node metastasis
別刷請求先
赤本 伸太郎 〒761-0793 木田郡三木町大字池戸1750-1 香川大学医学部第1外科
受理年月日
2005年10月19日
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