症例報告
肺癌膵転移の1切除例
三澤 一成, 清水 泰博, 安井 健三
愛知県がんセンター中央病院消化器外科
症例は59歳の女性で,既往歴は1998年に左肺癌に対し左下葉切除術,同時性脳転移に対して化学放射線療法,2002年に骨転移に対して放射線療法を施行した.外来経過観察中に血清CEA値の上昇を認め,2003年10月の腹部CTで膵頭部に径3.5 cmの腫瘍を認めた.EUSで低エコー,辺縁不整な腫瘍が描出され,EUS下穿刺細胞診および免疫組織学検査にて肺癌膵転移と診断した.肺原発巣,脳・骨転移が制御されていることから,2004年1月,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断は,中分化型腺癌で肺癌の膵転移として矛盾のない所見であった.現在,再発の兆候はなく術後15か月生存中である.転移性膵腫瘍は一般に予後不良であるが,切除により予後改善が期待できる症例もある.腫瘍の悪性度,他臓器転移の有無,患者のQOLなどを考え,症例によっては外科的切除を考慮すべきである.
索引用語
pancreatic metastasis, lung cancer
別刷請求先
清水 泰博 〒464-8681 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター中央病院消化器外科
受理年月日
2005年9月28日
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