症例報告
下大静脈合併切除を要した巨大後腹膜平滑筋肉腫の1切除例
嶋村 和彦, 山崎 俊幸, 桑原 史郎, 片柳 憲雄, 山本 睦生, 斉藤 英樹
新潟市民病院外科
症例は44歳の男性で,上腹部痛を主訴として近医を受診,腹部CTを施行し後腹膜腫瘍を指摘され当院に紹介,入院した.入院時右上腹部に巨大腫瘤を触知し,CTでは肝下面に接する巨大な腫瘤を認めた.血管造影検査では門脈は腫瘍により圧排されていたが,浸潤像は認めなかった.下大静脈には右腎静脈より頭側に浸潤像を認めた.後腹膜腫瘍の診断で開腹手術を施行した.肝下面,右腎静脈,右副腎に接する巨大な腫瘍を認めた.下大静脈には約10 cmにわたり浸潤しており,浸潤部を合併切除し腫瘍を摘出した.下大静脈切除部は連続縫合により閉鎖した.腫瘍は大きさ19×14×12 cm,組織診断で平滑筋肉腫と診断された.平滑筋肉腫に対する治療は外科的完全摘出が第1選択である.特に,後腹膜原発の場合,大血管との関係を画像診断により十分に明らかにしておく必要がある.また,術後再発も念頭におき,画像所見による早期診断,治療が求められる.
索引用語
retroperitoneal tumor, leiomyosarcoma, inferior vena cava
別刷請求先
嶋村 和彦 〒951-8510 新潟市旭町通1-757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科
受理年月日
2005年9月28日
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