症例報告
虫垂原発印環細胞癌の1例
平能 康充, 野澤 寛, 平野 誠, 原 拓央, 中田 浩一, 尾山 佳永子, 太田 尚宏, 羽田 匡宏, 高木 剛, 丹羽 秀樹*
厚生連高岡病院外科, 同 病理科*
今回,我々は極めてまれとされている虫垂原発印環細胞癌の1例を経験した.症例は66歳の男性で,右下腹部腹痛を主訴に来院した.右下腹部にBlumberg徴候を伴う圧痛を認めた.白血球数16,500/μl,CRP18.9 mg/dlと炎症所見が高度であり,腹部超音波検査で腫大した虫垂を認めたため,急性虫垂炎と診断し,虫垂切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査で,印環細胞癌と診断されたため,第53病日に腹腔鏡補助下回盲部切除術(D3郭清)を施行した.術後化学療法を施行しつつ外来にて経過観察中であるが,22か月経過した現在も無再発生存中である.急性虫垂炎では,切除標本の病理組織的検査を含めて粘膜面を詳細に検索し,虫垂腫瘍の見逃しを防ぐことが重要と考えられた.
索引用語
signet ring cell carcinoma, primary appendiceal carcinoma
別刷請求先
平能 康充 〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部心肺・総合外科
受理年月日
2005年9月28日
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