症例報告
検査所見と理学所見の乖離により術前確定診断しえた虫垂癌2例
高井 真紀, 橋本 健吉, 蓮田 正太, 梶山 潔, 立石 雅宏, 前川 宗一郎
宗像医師会病院外科
虫垂癌は術前確定診断は極めて困難である.今回,我々は検査所見と理学所見の乖離から虫垂癌を疑い,術前大腸内視鏡検査(total colonoscopy;以下,TCF)を行うことで診断しえた2症例を経験した.症例1は右下腹部痛と発熱を主訴に近医受診したところ,白血球35,800/mm3,CRP 7.1 mg/dlを示し穿孔性急性虫垂炎の診断にて紹介となった.しかし,理学所見上の圧痛は軽度で腹膜刺激症状は認めなかった.症例2は発熱と下腹部痛を主訴に近医を受診し,CTにて急性虫垂炎穿孔による膿瘍と診断され紹介となった.理学所見は症例1と同様であった.検査所見と理学所見の乖離から虫垂癌を疑い,TCFを施行した.2例ともTCFにて虫垂開口部に異常所見を認め,虫垂癌と術前確定診断が可能であった.検査所見と理学所見の間に乖離がある場合,虫垂癌の可能性を念頭におき術前TCFを行う必要があると考えられた.
索引用語
primary carcinoma of the vermiform appendix, preoperative diagnosis,colonoscopy
別刷請求先
高井 真紀 〒811-3431 宗像市田熊5-5-3 宗像医師会病院外科
受理年月日
2005年10月19日
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