症例報告
若年発症横行結腸内分泌細胞癌の1例
淀縄 聡, 小川 功, 後藤 行延, 伊藤 博道, 北原 美由紀, 浅越 辰男
茨城西南医療センター病院外科
症例は34歳の男性で,下血と腹部腫瘤を主訴に近医を受診,大腸癌を疑われ当科に紹介入院となった.腹部CT・MRIにて左上腹部に不整形の巨大腫瘤を認め,横行結腸間膜に発生し膵,横行結腸に浸潤する間葉系腫瘍が疑われた.結腸左半切除および膵体尾部・脾合併切除にて巨大腫瘍を一塊に切除した.切除標本は17×11×8 cm,1,500 gの充実性腫瘍で,組織学的には好酸性細胞質をもつ核異型の強い多角形の腫瘍細胞が索状・シート状に密に増殖していた.免疫染色にてsynaptophysin,chromogranin A,NSEが陽性のため内分泌細胞癌と診断された.術後CDDPおよびCPT-11による化学療法を行ったが術後7か月目に局所再発,肝転移,癌性腹膜炎のため死亡した.大腸原発内分泌細胞癌の術後成績は極めて不良であり,術前化学療法や術前照射を含めた集学的治療の確立が望まれる.
索引用語
endocrine cell carcinoma, transverse colon
別刷請求先
淀縄 聡 〒306-0433 猿島郡境町2190 茨城西南医療センター病院外科
受理年月日
2005年9月28日
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