症例報告
直腸膣中隔に発生したgastrointestinal stromal tumorの1例
松本 欣也, 小田原 一哉, 豊田 剛, 渡辺 英生, 串畑 史樹*
渡辺病院外科, 愛媛大学第1外科*
症例は57歳の女性で,排便困難,残尿感を主訴に当院を受診した.直腸前壁から膣後壁に及ぶ大きさ約4 cm大の粘膜下腫瘍を認め,CT,MRIの所見より直腸のgastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)を疑い,経肛門的に腫瘍摘出術を行った.腫瘍は大きさ4.5×4.0×3.6 cmで,HE染色では紡錘形の腫瘍細胞が錯綜し密に増生していた.免疫組織学的検査ではc-kit,CD34は陽性,desmin,S-100蛋白は陰性で直腸GIST,borderline~low grade malignancyと診断された.術後経過は良好で術後10日目に退院となった.現在,術後1年4か月目で再発は認めていない.直腸GISTの外科的切除術としては直腸切断術がなされる場合が多いが,自験例のように腫瘍径が小さく,経肛門的に切除可能な例もあり,症例に応じた術式の選択が必要と思われた.
索引用語
GIST, rectum, rectovaginal septum
別刷請求先
松本 欣也 〒791-8036 松山市高岡町178-4 渡辺病院外科
受理年月日
2005年9月28日
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