症例報告
神経内分泌細胞癌と腺癌の同時性多発胃癌の1例
安田 健司, 藤原 英利, 野村 秀明, 十川 佳史, 酒井 健一, 寺村 一裕*
若草第一病院外科, 淀川キリスト教病院病理科*
患者は74歳の女性で,貧血の精査にて上部消化管内視鏡を施行したところ胃体~胃体上部に出血性の全周性腫瘍が存在し,生検で低分化型腺癌と診断された.手術は胃全摘および脾臓,胆嚢合併切除術を行った.摘出標本では,腫瘍は胃前壁と後壁の2か所に存在,後壁の腫瘍は穿通していた.病理診断において胃前壁の腫瘍は低分化型腺癌,後壁の腫瘍はneuroendocrine cell carcinoma(以下,NEC)と診断された.NECは非常に予後不良で,有効な治療法が確立されておらず,本症例も術後1年10か月で原病死した.NECと低分化型腺癌の同時性多発胃癌の報告は我々の検索するかぎり本邦ではみられなかったことより若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
neuroendocrine cell carcinoma, synchronous multiple cancer, stomach
別刷請求先
安田 健司 〒579-8056 東大阪市若草町1-6 若草第一病院外科
受理年月日
2005年10月19日
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