原著
TNM stage II大腸癌の検索リンパ節数が予後に与える影響
角田 明良, 中尾 健太郎, 神山 剛一, 平塚 研之, 成田 和広, 山崎 勝雄, 渡辺 誠, 鈴木 直人, 保田 尚邦, 草野 満夫
昭和大学一般・消化器外科
目的:リンパ節転移陰性の大腸癌患者の予後は概ね良好であるが,その成績内容には大きな較差がある.今回TNM stage II(stage II)症例を対象として,検索リンパ節数の遠隔成績に与える影響を検討した.方法:1981年から2000年までに経験した大腸癌症例のデータベースよりstage II・III症例を抽出した.生存率の比較はKaplan-Meier法とLog-rank testを用い,多変量解析はCox regression modelを適用した.結果:stage II 229例とstage III 204例が解析の対象となった.stage II症例の検索リンパ節数は,年齢(P=0.0035),緊急手術の有無(P=0.0010),および癌占居部位(P=0.0030)に影響を受けた.同様にstage III症例では,性(P=0.0108),深達度(P=0.0080)に影響を受けた.stage II症例では検索リンパ節数の減少によりHazard比が増大したが,stage III症例では増大しなかった.考察:stage II症例の遠隔成績は検索リンパ節数に依存した.検索リンパ節数の少ないstage II症例は,補助化学療法の適応になる可能性がある.
索引用語
colorectal cancer, survival, prognosis, lymph node assessment, staging
別刷請求先
角田 明良 〒142-8666 品川区旗の台1-5-8 昭和大学一般・消化器外科
受理年月日
2005年11月30日
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