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第39巻 第5号 2006年5月 [目次] [全文 ( PDF 621KB)]
症例報告

右胃大網動脈を用いた冠状動脈バイパス術後の進行胃癌に対し血行再建を伴った幽門側胃切除術,D2郭清を行った1手術例

高橋 知秀, 近藤 俊彦, 重松 千普, 須田 久雄

練馬桜台クリニック外科, 光晴会病院循環器病センター外科

 右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス手術後に発症した下部進行胃癌に対して,脾動脈―右胃大網動脈グラフト間の血行再建とD2郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した症例を経験した.症例は73歳の男性で,既往歴として7年前に狭心症に対する冠状動脈バイパス術(3枝:両側内胸動脈,右胃大網動脈)を施行されている.今回,突然の黒色便を主訴に受診し,精査したところ,幽門前庭部に進行胃癌が発見された.2004年2月本術式を施行し良好な経過が得られた.本術式は腹腔内からのアプローチのみで冠状動脈への血行再建を施行できる点,右胃大網動脈を根部処理するため進行癌に対して確実な6番リンパ節領域の郭清ができる点に特長がある.検索した範囲で,同様の術式の報告はなく,今後右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス手術後に発症した進行胃癌に対する手術法として選択される術式のひとつとなりうると考えられた.

索引用語
coronary artery bypass grafting, right gasroepiploic artery, gastric cancer

日消外会誌 39: 550-555, 2006

別刷請求先
高橋 知秀 〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 佐賀大学医学部一般・消化器外科

受理年月日
2005年11月30日

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