症例報告
直腸膀胱窩の腹膜外結合組織へ孤立性転移再発を呈した盲腸癌の1例
猪熊 孝実, 池松 禎人, 木田 栄郎, 脇 慎治, 小澤 享史*, 兼松 隆之**
県西部浜松医療センター外科, 同 病理*, 長崎大学大学院移植・消化器外科**
症例は62歳の男性で,2000年1月,最大径7 cmの3型盲腸癌に対して結腸右半切除術を施行した.病理組織学的には高分化型腺癌,漿膜下層浸潤,222番リンパ節(4群)に転移を認めpStage IVであった.術後1年5か月後に直腸膀胱窩に約3 cm大の腫瘍形成を認め腹膜播種転移と診断した.しかし,他に転移を認めなかったため,2001年6月,骨盤内臓器全摘術を施行した.摘出標本において腫瘍は直腸膀胱窩の腹膜外結合織内に限局していた.リンパ節構造はなく,直腸粘膜,膀胱粘膜,壁側腹膜の各面に癌の露出を認めなかった.腹水細胞診も陰性であり,盲腸癌の腹膜外結合織への転移再発と診断した.このような転移再発形式は極めてまれであるため報告し,今後の症例蓄積と転移ルート解析を期待したい.
索引用語
colon cancer, metastasis, rectovesical pouch
別刷請求先
猪熊 孝実 〒852-8501 長崎市坂本町1-7-1 長崎大学大学院移植・消化器外科
受理年月日
2005年11月30日
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