原著
十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療法の適応基準と有用性
永野 元章1)2), 島山 俊夫1), 高橋 伸育1), 今村 直哉1), 河埜 喜久雄1), 千々岩 一男2)
宮崎市郡医師会病院外科1), 宮崎大学医学部第1外科2)
はじめに:十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療の適応基準を明らかにすることを目的とした.方法:1997年4月から2004年3月までに入院治療した十二指腸潰瘍穿孔症例80例を対象に,治療法により保存的治療群と手術治療群に分類し比較した.保存的治療の適応は全身状態良好でUS,CTで腹水が少量で限局しているものとし,1999年以降はこれに上部消化管造影検査で造影剤の漏出がないか,あっても漏出距離が2 cm以下で限局しているものという条件を加え,この適応基準の妥当性を検討した.結果:80例中46例に保存的治療を行い,5例で腹腔内膿瘍に対する経皮的ドレナージを,6例で手術に変更し,結局40例(87%)に完遂できた.保存的治療完遂群が有意に若く(p<0.01),入院日数は平均14日で手術治療群の平均22日と比べ有意に短かった(p<0.01).上部消化管造影による適応基準導入後は保存的治療の完遂率は向上し,腹腔内膿瘍の合併も低下した.考察:今回の十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療の適応基準は,その完遂率を向上させ,有用で簡便な保存的治療適応決定の指針になることが示唆された.
索引用語
perforated duodenal ulcer, conservative treatment, indication, upper gastroduodenography
別刷請求先
千々岩一男 〒889-1692 宮崎郡清武町木原5200 宮崎大学医学部第1外科
受理年月日
2005年12月16日
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