逆行性経肝胆道ドレナージチューブによって引き起こされた良性肝内胆管狭窄の1例

小佐々　博明, 清水　良一, 年光　宏明, 的場　勝弘

厚生連小郡第一総合病院外科

　逆行性経肝胆道ドレナージチューブ（以下，RTBD tube）により生じた良性肝内胆管狭窄の1例を経験した．症例は41歳の女性で，膵管胆道合流異常・総胆管拡張症に対し総胆管切除・肝管空腸吻合術の既往あり．術後3年目に胆管炎を来した際のCTで，肝外側区域に胆管拡張を認めた．各種画像診断で肝内に腫瘍性病変は認めなかった．胆管炎を繰り返すため迅速病理組織検査を併用して肝外側区域切除術を施行した．術中および切除標本の病理検索では，狭窄部胆管周囲に炎症細胞浸潤，fibrosisを認めたが悪性所見はなかった．3年前の術後胆管造影を検討し，RTBD tube貫通部の瘢痕による肝内胆管狭窄と診断した．RTBD tubeを用いる際は，胆管狭窄などの術後合併症を考慮し，極力末梢胆管を穿破することが肝要で，肝内胆管径に対し十分細いtubeを使用するか，口径の広いものを使用したいときには，経腸的な留置も考慮すべきと考える．

索引用語
retrograde transhepatic biliary tube, benign biliary stricture, anomalous pancreaticobiliary duct junction

別刷請求先
小佐々博明　〒754-0002　山口市小郡下郷862-3　小郡第一総合病院外科

受理年月日
2005年12月16日

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