症例報告
肝門部胆管癌術後の膵内胆管再発に対し膵頭十二指腸切除術を施行した1例
武藤 俊博, 所 隆昌, 佐藤 榮作, 金子 哲也, 折原 明
公立学校共済組合東海中央病院外科
症例は69歳の男性で,1999年11月肝門部胆管癌にて拡大肝左葉切除術が施行され治癒度Bであった.2003年5月胆管炎のため入院,保存的に軽快した.しかし,膵内胆管に再発明らかとなり2003年7月,膵頭十二指腸切除術を施行し治癒切除を得た.術後20か月にて多発性肝転移で死亡した.異時性多発の可能性も考えられるが,脆弱な肝門部胆管癌から脱落した腫瘍塊の播種による胆管再発と考えられた.肝門部胆管癌術後再発に対する手術は適応が限られ,非定型的で侵襲が大きくなることも多く予後も不良である.自験例を含めた1990年以降の本邦報告例の検討では再発手術17例中3例17%で在院死,12例70%で再手術後再発を来した.しかし,7例41%で1年以上の生存が得られており,他に有効な治療法がない現状では限局した再発に対する外科療法は重要な選択肢であると考えられる.
索引用語
hilar cholangiocarcinoma, implantation, pancreatoduodenectomy
別刷請求先
武藤 俊博 〒464-8681 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
2005年12月16日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|