症例報告
小腸憩室穿孔で発病した続発性消化管アミロイドーシスの1例
坂田 直昭, 和田 靖, 森川 孝則, 有明 恭平, 富永 剛
帯広第一病院外科
患者は慢性関節リウマチで治療中の72歳の女性で,食思不振のため入院中.上腹部痛が出現し,腹部CTにて,Free air像と著明な腹水がみられ,さらにショック状態を呈した.消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断,開腹手術を施行した.上部空腸に穿孔を認め,空腸部分切除術を施行した.術後,全身状態は徐々に悪化し,第6病日に多臓器不全のため死亡した.血清アミロイドA蛋白(SAA)の著明な上昇と,組織学的に切除小腸の粘膜筋板と血管平滑筋などにアミロイド沈着があった.小腸憩室に穿孔を認め,慢性関節リウマチに続発したアミロイドーシスの消化管穿孔と診断した.アミロイドーシスによる消化管穿孔はまれであるが,慢性関節リウマチの増加に伴い,今後増加することが予想される.慢性関節リウマチの既往のある急性腹症では,消化管アミロイドーシスの鑑別を念頭におく必要があると考えられた.
索引用語
amyloidosis, rheumatoid arthritis, gastrointestinal perforation
別刷請求先
坂田 直昭 〒080-0014 帯広市西4条南15-17-3 帯広第一病院
受理年月日
2005年12月16日
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