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第39巻 第6号 2006年6月 [目次] [全文 ( PDF 537KB)]
症例報告

牽引性空腸憩室が原因で発症した空腸閉塞の1切除例

澤田 成朗1)2), 岡村 直孝1), 長倉 成憲1), 多々 孝1), 島影 尚弘1), 草間 昭夫1), 内田 克之1), 塚田 一博2), 田島 健三1)

長岡赤十字病院外科1), 富山大学第2外科2)

 症例は47歳の男性で,腹痛,嘔吐を主訴に当院内科紹介受診し,内ヘルニアの診断にてこれまで2003年6月中旬,同年7月中旬の2度の入院の既往があった.いずれも保存的加療を受け軽快していた.2004年2月中旬,腹痛,嘔吐にて当院内科に再々入院となった.CT,低緊張性十二指腸造影などの精査の結果,Treitz靭帯への内ヘルニアと診断された.手術目的にて同年3月上旬当科転科となり,同年3月中旬開腹術を施行した.手術所見ではTreitz靱帯より6 cm肛門側空腸が頭側背側の後腹膜と癒着し憩室が存在し,同部で腸管が鋭角に強く屈曲していた.手術は憩室切除術を施行した.病理学的には真性憩室で炎症性変化は奬膜面が中心で粘膜面には異常所見は認めず,牽引性空腸憩室と診断した.術後経過は良好であった.後天性牽引性空腸憩室のみによる腸閉塞は,本邦においていまだ報告がなくまれな疾患であり,文献的考察を加え報告した.

索引用語
jejunal diverticulosis, traction, obstruction

日消外会誌 39: 713-717, 2006

別刷請求先
澤田 成朗 〒930-0194 富山市杉谷2630番地 富山大学第2外科

受理年月日
2006年1月25日

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