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第39巻 第8号 2006年8月 [目次] [全文 ( PDF 812KB)]
症例報告

直腸癌からの管腔内転移が考えられた転移性痔瘻癌の1例

湯浅 康弘, 沖津 宏, 滝沢 宏光, 石倉 久嗣, 一森 敏弘, 石川 正志, 木村 秀, 阪田 章聖, 藤井 義幸

徳島赤十字病院外科, 同 病理

 症例は48歳の男性で,2004年4月下血および肛門部痛を主訴に近医を受診し,痔瘻,直腸癌疑いで当院に紹介となった.痔瘻は肛門左側に開口し,15 mm大の顆粒状の硬い結節として触れた.なお,同部位からの生検では悪性所見はなかった.直腸診では肛門輪より4 cmの直腸後壁を中心に硬い腫瘤を触れた.血液一般検査で特記事項は認めず,CEAは19 ng/mlと高値を呈していた.精査の結果,痔瘻を伴う直腸Rb中分化型腺癌の診断のもとで,腹会陰式直腸切断術,D3郭清を施行した.会陰操作では痔瘻を完全切除し,型のごとくS状結腸に人工肛門を造設した.術後会陰創の一部哆開を認めた以外経過は良好であった.病理組織診断で中分化型腺癌a2,n1(+),ly1,v2でstage IIIaであった.痔瘻開口部からも同様の組織が確認でき,直腸癌からの管腔内転移と診断した.転移性痔瘻癌の報告はまれであり文献的考察を加え報告する.

索引用語
metastatic carcinoma of anal fistula, implantation

日消外会誌 39: 1435-1439, 2006

別刷請求先
湯浅 康弘 〒773-8502 小松島市中田町新開28-1 徳島赤十字病院外科

受理年月日
2006年1月25日

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